2026年9月、ほくでん(北海道電力)から「電気料金の見直しについて」という案内が届きました。
11月1日から値上げです。
我が家は道北の、暖房も給湯も電気、オール電化の家。
計算してみたら年間で約1万9千円の負担増でした。
※イメージ
「じゃあ契約を見直して取り返そう」と調べ始めたのですが、思いついた手は次々と空振り。この記事はその記録です。先に結論を書いておきます。
- 値上げのほとんどは基本料金。節電しても取り返せない
- 契約容量の変更・プラン変更・新電力への切替は、どれもしないのが正解だった
- 残った対策は「暖房の使用量を減らす」「お湯の量を減らす」という地味な2つだけ
- それでも調べた意味はあった(電気代の主役が分かった・温水器の時計のずれを見つけた)
同じような古い夜間プランを使っている方の参考になればうれしいです。
この記事の金額は、2026年11月1日実施の見直し後単価(税込)で私が試算したものです。燃料費調整・再エネ賦課金・国の値引きは含みません。あくまで我が家の例として読んでください。
そもそも、なぜ値上げ?「託送料金」とは
案内には「託送料金の見直しに伴う」と書いてありました。まず、この言葉から調べました。
なんて読むの?「託送」?
託送(たくそう)料金は、電線の利用料です。
電気を家まで届ける送電線・配電線は、北海道では「北海道電力ネットワーク」(ほくでんネットワーク)という会社が持っています。電気を売る会社は、ほくでんも新電力も、この電線を借りて電気を届けています。その利用料が託送料金で、私たちが払う電気料金の中に含まれています。
今回は、この利用料が上がります。
- 2026年7月10日:ほくでんネットワークが国に見直しを申請
- 2026年9月4日:国が承認
- 2026年11月1日:新しい託送料金がスタート。電気料金も同じ日から見直し
理由は物価と金利の上昇です。ほくでんネットワークの発表によると、電線や機器などの資材費、工事にかかる人件費が、計画を立てたときの想定より上がりました。さらに金利が上がって、設備投資のための借入れコストも増えています。効率化だけでは吸収しきれない、という説明でした。
金額で見ると、送配電にかかる費用の見通し(2023〜2027年度の5年間)が、1兆59億円から1兆603億円へ、544億円増えています。
つまり今回の値上げは、発電の燃料代ではなく、電気を運ぶ設備を維持する費用が上がったことによるものです。電線は、電気をたくさん使う家にも少ししか使わない家にも同じようにつながっています。値上げが使った量ではなく基本料金に寄っているのは、そのためだと私は理解しました。
参考:ほくでんネットワーク「託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請について」(2026年7月10日)、「同・変更承認について」(2026年9月4日)
我が家の電気契約
我が家の電気契約は2本あります。
| 契約 | 容量 | 用途 |
|---|---|---|
| 時間帯別電灯「ドリーム8」 | 5kVA(夜間は23時〜翌7時) | ふだんの電気+電気温水器 |
| 融雪用電力L「ホットタイム22ロング」 | 4kW | 3部屋のパネルヒーター |
融雪用の請求は11月〜4月分の6か月だけで、それ以外の時期はブレーカーを落としています。
どちらも新規受付が終わっているプランです。これが後で効いてきます。
直近1年(2025年10月〜2026年9月)の実績はこうでした。
| 契約 | 使用量 | 請求額 |
|---|---|---|
| ドリーム8 | 5,878kWh | 172,647円 |
| 融雪用L | 2,931kWh | 83,616円 |
| 合計 | 8,809kWh | 256,263円 |
「ドリーム8」の年間使用量

「ホットタイム22ロング」の年間使用量

値上げの中身:ほぼ全部が基本料金
同封の単価表を読んで、まず驚いたのがここです。
| 契約 | 項目 | 見直し前 | 見直し後 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| ドリーム8 | 基本料金(6kVA以下・月) | 1,971.20円 | 3,113.60円 | +1,142.40円 |
| ドリーム8 | 電力量料金(昼・夜とも) | — | — | +0.08円/kWh |
| 融雪用L | 基本料金(1kW・月) | 761.20円 | 951.60円 | +190.40円 |
| 融雪用L | 電力量料金 | — | 27.50円 | +0.08円/kWh |
電力量料金は1kWhあたり0.08円しか上がらないのに、基本料金は月1,000円以上の値上げ。年間に直すとこうなります。
| 内訳 | 値上げ分(年) |
|---|---|
| ドリーム8の基本料金(1,142.40円×12か月) | +13,709円 |
| 融雪用Lの基本料金(190.40円×4kW×6か月) | +4,570円 |
| 電力量料金(8,809kWh×0.08円) | +約700円 |
| 合計 | +約19,000円 |
1万9千円のうち、使用量に比例するのは700円ほど。つまり電気をこまめに消しても、値上げ分はほとんど取り返せません。
「それなら契約のほうを見直すしかない」と考えました。ここからが空振りの連続です。
当て外れ① 容量を下げれば安くなる → もう最安区分だった
ドリーム8は6kVAを境に基本料金が変わります。「容量を下げれば基本料金も下がるはず」と思ってエネモールで契約を確認したら、我が家は5kVA。すでに一番安い区分でした。
6kVA以下は一律なので、これ以上下げても1円も変わりません。
当て外れ② 使わない部屋のヒーターを契約から外す → 全部使っていた
融雪用電力Lは1kWごとに基本料金がかかります。1kW減らせば年に約5,700円(951.60円×6か月)浮く計算です。
ところが、パネルヒーターは3部屋とも現役。外せる部屋がありませんでした。
当て外れ③ 暖房を止める時間を作る → 凍結するので消せない
道北の冬は、水道管の凍結防止のためにヒーターをつけっぱなしにするのが前提です。「いない間は消す」という、いちばん素直な節約が選べません。
結局、「不在の部屋・時間帯だけ設定を低めにする(消さない)」に落ち着きました。
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当て外れ④ 新しいプランに変えれば安くなる → 古いプランが最安だった
使用量を調べると、ドリーム8の約74%が夜間でした。これだけ夜に寄っていると、夜間単価の安いプランが圧倒的に有利です。
見直し後の定価で試算した結果がこちら。
| 変更先 | 今のプランとの差(年) |
|---|---|
| エネとくスマートプラン(5kW想定) | 約13,100円 高くなる |
| エネとくポイントプランB(50A想定) | 約66,100円 高くなる |
値上げ後でも、古いドリーム8のほうが安いという結果でした。
しかも新規受付が終わったプランなので、一度やめたら戻れません。「値上げされたから乗り換えよう」と勢いで動かなくてよかったです。
新電力への切替も考えましたが、今回上がるのは託送料金です。新電力も同じ電線を使うので、同じ影響を受ける見込み。夜間単価の安さも手放すことになるので見送りました。
発見① 電気代の主役は暖房ではなく給湯だった
プラン比較のために使用量を細かく見ていて、夜間の使用が月300〜450kWhもあることに気づきました。正体は電気温水器(2008年製・370Lタンク)です。
エネモールの「時間別」で、寒さの厳しかった2026年1月31日を見てみます。明け方の沸き上げだけで約14kWh。この日のドリーム8の使用量(約17kWh)の8割を占めていました。お湯をあまり使わない10月上旬の日でも約11kWhあります。
年間にすると、暖房が約8.4万円、給湯が約11万円。ずっと「北海道の電気代=暖房」と思い込んでいたので、これは意外でした。
「ドリーム8」の時間別電力使用量

当て外れ⑤ 沸き上げ設定を省エネ側に → もうなっていた
温水器の沸き上げ設定には「たっぷり」(約90℃)と「おまかせ」(使った湯量から予測して約65〜90℃)があります。「たっぷりになっているなら変えよう」と見に行ったら、すでに「おまかせ」でした。
発見② 温水器の時計が76分遅れていた
設定を確認したら、おかしなことに気づきました。時刻は11:17なのに、表示は10:01。時計が76分遅れていたのです。
この機種は本体の時計で夜間時間帯を判断します。時計が遅れていると、沸き上げが朝7時を過ぎて、高い昼料金の時間にはみ出しているかもしれません。最大で月2,500〜3,000円の損、と見積もって青くなりました。

当て外れ⑥ でも実害はなかった
時計はその場で直しました。
上の時間別グラフ(1月31日)で確かめると、沸き上げは3:00〜6:30ごろ。お湯をたくさん使う真冬でも、ちゃんと夜間枠(朝7時まで)に収まっていました。10月上旬の日も4:15〜6:45ごろで、こちらも枠の中です。
ただ、朝7時までの余裕は15〜30分ほどしかありません。時計がこのまま遅れ続けていたら、いずれ昼料金の時間にはみ出していた可能性が高いです。
電気温水器を使っている方は、本体の時計を一度見てみることをおすすめします。我が家は年2回、融雪用のブレーカーを入れるときと落とすときに点検することにしました。
結局、残った対策
| 対策 | 費用 | 効果の目安(年) |
|---|---|---|
| パネルヒーターを不在の部屋・時間帯だけ低めにする(消さない) | 0円 | 使用量1割減で約8,000円 |
| 窓に断熱シート・隙間テープ | 数千円 | 上の削減を後押し |
| 節水シャワーヘッド | 約3,000円 | お湯1割減で約9,000円 |
| 洗濯乾燥・炊飯を23時以降のタイマーに | 0円 | 3,000〜5,000円 |
全部うまくいけば、値上げ分の1万9千円はだいたい取り返せる計算です。ただし定価での試算なので、実際の効果はもう少し小さくなるかもしれません。
もうひとつ気づいたのが朝の調理です。7時を過ぎるとIHは昼料金になります。7時前に済ませれば1kWhあたり12〜20円安くなります。
まとめ
- 今回の値上げは基本料金が中心。契約がすでに最適なら、避けようがない
- 古い夜間プランは、値上げ後でも新しいプランより安いことがある。変える前に必ず試算する
- 調べた結果「何も変えない」になっても、今の契約が最安だと確認できたのは収穫
- 電気代の主役が給湯だと分かり、温水器の時計のずれも見つかった
派手な節約ワザは出てきませんでしたが、「何もしないのが最安」と分かったうえで払うのと、分からないまま払うのとでは気分が違います。
案内が届いたら、まずは自分の契約と使用量をエネモールで見てみてください。
この冬の結果は、来年の春にまた報告します。
※イメージ
